#019 仲間を信じること

前年のチャンピオンに11点のリードを許すタフな展開。またしても立ち上がりに苦しむという形で幕を開けた長崎ヴェルカ戦GAME1。
京都は2Qでチャールズ・ジャクソンがゴール下で強さを見せるなど、徐々に点差を縮めていく。6点でビハインドで前半を折り返す。
そして、後半。開始早々、前田悟が爆発。2本の3ポイントシュートなどで8-0のラン。34-32と逆転に成功。リードチェンジを繰り返し、互いに譲らない展開。前田の好ディフェンスから流れを掌握し、3Q終盤にはアンジェロ・カロイアロのフリースローや岸本隆一の3ポイントシュートで一時は10点差をつけ、京都が7点リードで4Qへ向かう。
リードを保てず、一進一退の攻防が続き、1点を争う壮絶なデッドヒートとなるが、残り24秒で前田悟が値千金の3ポイントシュートを沈め、73-69と勝利を引き寄せたかに見えた。
しかし、長崎も諦めず、馬場雄大の3ポイントシュートなどで73-74と土壇場で逆転される。残り4秒でチャールズ・ジャクソンがフリースローを1本決めて74-74の同点とし、試合はオーバータイムへ突入。
延長戦に入ると、デメトレ・リバースとアンジェロ・カロイアロが連続得点を挙げ、78-74とリードを奪い、長崎に2点を返されるものの、その後は全員の泥臭いディフェンスで長崎のオフェンスをシャットアウト。
デメトレ・リバースのタフショットやチャールズ・ジャクソンのインサイドプレーで一気に突き放し、84-76で試合を制した。

このタフな勝利を支えたのはチャールズ・ジャクソンの奮闘だった。30得点・19リバウンドの活躍でチームを牽引し、32分を超える長いプレータイムでも集中を切らさずにチームのために身体を張り続けた。
今シーズンに向けて並々ならぬ思いを抱いていた大黒柱。常にチームのために走り続けている。
そして、周囲からの信頼も厚い。9月上旬のとある練習。村上直GMがチャールズ・ジャクソンの練習を見ながら筆者に笑顔で呟いた。「CJ(チャールズ・ジャクソンの愛称)を見て。マイキー(マイケル・フィリップス)にずっとアドバイスを送ってるから。これができる存在ってめちゃくちゃ大きいよ。すごくチームに良い影響を与える行動やから。今年のCJはちょっと今までと一味違うと思う」。
在籍4年目を迎えたCJは、走れるビッグマンとして常にチームの先頭を走り続けてきた。勝つ試合も負ける試合もどの試合にもCJのハードワークが不可欠だった。その分、苦労やフラストレーションも大きかっただろう。
過去を振り返れば、上手くいかないことも多かった。試合中にフラストレーションを抱え、感情を露わにし、集中力を切らし、ミスをする場面も多々あった。
しかし、今年はどこか違う。プレシーズンマッチからここまで、CJは試合中に集中力を切らさずに、自分自身に矢印を向けて最後まで走り続けている。3試合で決めつけるのは時期尚早だが、課題として挙げられているフリースローも改善されているように見受けられる。

今朝、アシスタントコーチ兼オンコート通訳の内木主道に声を掛け、今年のCJの様子を伺った。「リラックスしつつも、やる時はやるというメリハリを今のチームに感じます。
その中心に勇人さん(川嶋)や隆一さん(岸本)というベテラン勢がいて、もちろんキャプテンの悟さん(前田)もいます。それに加えて、CJの存在がとにかく大きいです。質の高いコミュニケーションでチームに集中力をもたらして、みんなを引っ張ってくれています。ボーカルリーダーと言いますか。積極的にCJがみんなに声を掛けていて、みんなもそれを信頼しています」。と絶大な信頼を寄せていた。

日本のことやプロの世界のこともわからないルーキーのマイケル・フィリップスにアドバイスを送り、練習中も試合中も常にエナジーを出し続ける。今までもやっていなかったわけではない。ただ、今年のCJは、明らかにポジティブな雰囲気を纏っている。何がCJを突き動かしているのか。開幕が近づく9月中旬、CJが話していたことを思い出した。
「今の環境に対して、心から恵まれていると感じている。自分が大好きなスポーツができていることにまず感謝しているよ。特に、ここ京都で4シーズン目を迎えられることに対して。
京都ハンナリーズのユニフォームを着てコートに立ち、京都のためにプレーして、持てる全ての力を出し切れることが本当にありがたいし、特別で幸せなんだ。
今でもこうしてプレーを続けられていることが単純に嬉しいし、今もここにいられる機会を与えてくれている京都ハンナリーズに本当に感謝しています」。
同じクラブで4シーズン目を迎えることはこれまでなかった。在籍年数を重ねるごとにクラブへの愛着や安心感が増していると言う。
そして、そんなチームに恩返しがしたい。だからチームメイトにもいつも優しい。そして、明るくコミュニケーションを取る。自分と同じように海外から日本に来てプレーをすることを選んだ若者への配慮も忘れない。「マイキーは本当に努力家だから、僕からあれこれ教え込む必要は正直あまりないんだ。ハードワーカーだからこそ、実際にコートに出てプレーする中で、自分自身で経験して学んでいかなければならないことだってあるしね。
でも、マイキーが毎日少しでも良くなるようにいつも話しかけているよ。それに、彼も僕をしっかりプッシュして(刺激を与えて)成長させてくれているんだ。だから彼の活躍が本当に楽しみだし、絶対に素晴らしいプレーをして、Bリーグでも素晴らしい選手になると確信しているよ。彼の活躍は、自分にとっても大きくてそれがすごく楽しみなんだ」。そう話していた。


今日の試合も崩れてしまいそうなポイントがいくつかあったが、その度にCJがリバウンドを取り、得点を挙げ、京都ハンナリーズは息を吹き返した。試合直後にCJに話を聞いた。
「チームメイトがお互いを信じてプレーすることが勝利に繋がった。
誰かがミスしたら、他の誰かが頑張れば良い。みんながみんなを信じて戦ったから勝つことができた。それが本当に嬉しい。
この勝利を続けていかないといけないし、毎日もっと良くしていきたい。明日の試合もしっかり勝てるように、明日は今日より良くなるように精一杯プレーするよ」。この言葉が、今のCJと京都ハンナリーズを象徴しているように感じる。CJの言葉にはいつも仲間を意識したメッセージが多く込められている。
「この前、練習中に素晴らしい光景を見た。誰かが困った時、誰かが誰かを助けるシーンがあったんだ。この一体感はそんなに簡単に生まれるものじゃない。みんながお互いを思い、信じ、支え合う。みんなが責任を持って、仲間の成功を祈っている。このチームならきっと上手くいく」。CJの成長を支えている大きな要素は「仲間を信じること」だった。

ここまでの3試合も、苦しいことが多かった。それでも何とか2勝を挙げている。そして、これからもタフな試合が続いていくだろう。明日の試合もそのひとつだ。簡単な試合はひとつもない。それでも「このチームなら」とチームの全員が仲間を信じている。
どんな挑戦も信じてみないと始まらない。信じてみないと楽しくない。
その集団の先頭をCJが全力で走り続ける。

取材・執筆 / 京都ハンナリーズ広報部 笠川真一朗
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KYOTO HANNARYZ




















